http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070918it01.htm
「かんぽの宿」食堂売店業務6割、郵政OB企業と随意契約
簡易保険の保険料などを原資に建設され、日本郵政公社が運営している宿泊施設「かんぽの宿」を巡り、旧郵政省OBの元キャリア官僚(66)が社長を務める民間企業が、全国61施設の食堂、売店計122店のうち、約6割の70店の業務を、公社から随意契約で委託されていることがわかった。
業務の大半は、小泉内閣が推し進めた公益法人改革で解散に追い込まれた天下り先の財団法人から、引き継がれていた。年間80億円の売り上げが見込まれており、10月1日の郵政民営化に向け、公益法人から民間企業に形を変えて「官益」が温存された形だ。
民間企業は、レストラン運営「夢閑歩(ゆめかんぽ)サービス」(東京都千代田区)。財団法人は、簡保加入者の福祉増進などを目的に1965年に設立され、今年4月に解散した「簡保加入者サービス協会」。
郵政公社やサービス社などによると、サービス社は4月、それまで随意契約で協会に委託されていた塩原(栃木県)、修善寺(静岡県)、十勝川(北海道)、美作湯郷(みまさかゆのごう)(岡山県)など「かんぽの宿」13施設の食堂と売店、箱根(神奈川県)、勝浦(千葉県)、一関(岩手県)など35施設の売店、さらに1施設の食堂について、公社から業務委託を受けた。
これに先立ち昨年12月、別の2施設を含む7施設で食堂7店、売店1店の業務を委託されたOB企業2社を吸収合併。8店の業務も公社から委託されていた。
サービス社は全施設の8割にあたる51施設に参入し、年間売り上げは、食堂計21店で51億円、売店計49店で29億円が見込まれる。売り上げの1~2割が公社、残りがサービス社の収入になる。「かんぽの宿」は施設ごとに食堂と売店が1店ずつあり、他の52店のうち5店は公社直営、47店は別の35社に随意契約で業務委託されている。
会計法に準じた公社基準では、すべての契約は原則、競争入札。「かんぽの宿」の随意契約について、公社関連事業部は「継続して安定したサービスをお客様に提供するため」と説明し、解散した協会の業務をそっくりOB企業に委託したことについては「業務をスムーズに移行できるよう協会から事業譲渡を受けた企業を選んだ」としている。
協会は公益法人改革で「設立目的を達成し、役割を終えた」として解散。食堂などの収益事業をサービス社に譲渡していた。
サービス社は87年、食堂経営などを目的に設立されたが、少なくとも2004、05年度は「かんぽの宿」での委託関係はなかったという。社長には、旧郵政省東京貯金事務センター所長を最後に1991年に退職した元官僚が昨年8月31日に就任。社長は、翌日から協会解散まで協会の会長を兼務していた。役員4人のうち、社長を含む3人が同省OB。今年4月以降、公社退職者12人が再就職している。
「かんぽの宿」は採算の悪化に加え、「民業圧迫」との批判を受け、民営化後5年以内の売却・廃止の方針が決まっている。有識者による「郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会」が現在、サービス社を含め、公社と密接な関係のある219法人の取引実態を調査。「かんぽの宿」については先月、売却・廃止の前倒しを提言している。
(2007年9月18日3時0分 読売新聞)